節約のデリ

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弁当屋が次々閉店?その理由とスーパー現場から見たコメ高騰の影響

弁当屋の倒産が過去最多!?ごはんが主役のはずなのに…スーパー惣菜チーフの視点で見えたこと


 

「またお弁当屋さんが閉店してた…」


そんな話題が、最近ぐっと身近になってきました。

私が働くスーパーの惣菜部門でも、「あのお店なくなっちゃったの?」というお客様の声を耳にします。実は2025年、弁当屋さんの倒産が過去最多ペースで進んでいるんです。

 

特に影響が大きいのが“ご飯”の価格


「ご飯を安くたっぷり食べられるのが弁当の良さだったのに…」という声に、胸が痛みます。

 

今日はそんな「弁当屋さんの今」を、データとスーパーの現場から、ぐっとリアルに掘り下げてみます。


 

なぜ今、弁当店が苦しいのか?

2025年1~5月だけで、倒産件数は22件


これは前年同期(21件)より多く、年間で過去最多になる可能性があるといわれています(出典:帝国データバンク)

www.tdb.co.jp

 

背景にはさまざまな要因がありますが、特に大きいのは:

  • コメの価格が上昇し続けていること
  • スーパーやコンビニの「ワンコイン弁当」が強すぎるこt
  • テレワークの普及で法人向け需要が減少していること
  • 人手不足が解消されないこと

なかでも「コメ高騰」は、弁当店の首を絞める最大の要因になっています。

 

詳しく見ていくと・・・

 

米価格の高騰が止まらない

2024年の米不足以降、業務用米の価格は大きく上昇しました。これにより、ご飯を主力とする弁当の採算が厳しくなっています。備蓄米の放出も行われましたが、「品質を保つには新米を使いたい」という声も多く、価格と品質のバランスが大きな課題となっています。

ワンコイン弁当との激しい価格競争

コンビニやスーパーが提供する500円以下の「ワンコイン弁当」は、コスト面での優位性があり、地域の弁当店にとっては大きな脅威です。原価の高騰が進む中、価格を据え置くことが難しく、値上げもできない。そんな板挟みが収益力を圧迫しています。

法人需要の縮小と地域イベントの減少

テレワークの普及や、冠婚葬祭・法要の簡素化により、大口の注文や高単価弁当の需要が減っています。かつて安定した売上源だった法人向けやイベント需要が減少したことで、売上を支える柱を失い、経営への影響が広がっています。

人手不足と労働環境の厳しさ

早朝からの仕込みや長時間労働など、弁当業界は働き手にとって厳しい環境が続いています。調理師やパートスタッフの確保が難しく、人手不足が慢性化。少ない人員での運営が続く中、サービスや品質維持に限界が見え始めています。


 

止まらぬコメ高騰と、価格転嫁の限界

私の現場でも、昨年のコメ不足から仕入れが非常に不安定になりました。
価格は1年で2.2倍に。私の職場では、当時5kg 1,500円だった業務用米が、今では3,500円で推移しています。

 

ご飯大盛り系の弁当は、もはや利益が出ない状態です。
でも、価格を上げれば売れない…「たっぷり食べられるのが魅力」だったのに、その魅力を守れないジレンマがあります。

 

それでも、スーパーやコンビニはスケールメリットがあるので、同じ原材料でもコストを抑えられます。

 

以前398円で売っていた弁当も、今では498〜598円にしないと利益が出ません。

 

すべての食材が値上がった弁当においては、398円から650円まで上がった弁当もあります。そのため、毎月商品の改廃で、なるだけ売り手、買い手が損をしないような商品づくりをしています。


 

弁当の「価格と品質」ジレンマ

※本グラフは、株式会社帝国データバンクが公表した「2025年6月8日付『弁当店の倒産動向(2024年度)』」の内容に基づき、独自に作成したものです。データの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。

 

資料では、2024年度の弁当事業のうち業績悪化(赤字+減益)が51.9%にのぼっています。

 

その原因の多くが、「価格を上げられない」ことにあります。

 

スーパーでも同様で、「この値段で売れる商品」を作るのが本当に難しい。


たとえば、同じ弁当でも副菜を変えたり、包材を変えたり、また利益と取れるアイテムと取れないアイテムを合わせたりと細かな対応を繰り返しています。

 

ロス率を下げて、ギリギリの利益率で勝負といった見栄えとコストのせめぎあいも続いています。

 

まさに弁当作りは「原価と工夫の戦い」なんです。


 

スーパー惣菜部門の“逆転の工夫”

とはいえ、諦めてはいません。現場ではこんな工夫を重ねています。

  • 人気が落ちた商品は即見直し、毎月アイテム入れ替え
  • ご飯量の調整で利益確保と食べごたえのバランスを調整
  • 売れ行きに応じて割引率も細かく変更(10%〜50%)
  • 「選べる」より「選ばれる」商品へ。定番の味を磨き直す
  • 手作りのアイテムを増やして利益改善を行う

それぞれ地道なことですが、買う側の「ちょっと嬉しい」が積み重なれば、ちゃんと届く。

そう信じて、商品作りをしています。

 

最近私が作った弁当も、なかなか低価格に抑えるのは厳しかったのですが、手作りのものを増やして、なんとか以下の金額に収まりました。

各430円(税込み464円):利益率45%程度

特売時398円(税込み429円):利益率40%程度



 

地域の弁当屋さんの魅力も、ちゃんとある

一方で、私は街の弁当屋さんも大好きです。
あの「いつもの味がある」って、本当にありがたい。

 

学生の頃に食べていた味を、大人になっても買える。

大人になってからその凄さもわかったりします。
それってスーパーではなかなか出せない、“その土地の文化”なんですよね。

 

私も学生の頃から通っている地域のお弁当屋さんがあります。かれこれ20年くらいですか・・・。20年前と変わらない同じ弁当が売れているなんて、なんとも羨ましく、誇らしいですね。


 

まとめ

2025年、弁当店は過去最多ペースで倒産する見込み。
その背景には、コメの高騰と価格転嫁の難しさがあります。

スーパーの現場でも、それは他人事ではありません。
今後ますます、「価格」「満足感」「安心感」のバランスが問われていくと思います。

でも、だからこそ「ちゃんとおいしく、ちゃんと伝わる弁当」を作っていくことが、私たちの仕事なんだと実感しています。

ぜひ、いつものお弁当を食べながら、ちょっとでもこの現実を思い出してもらえたら嬉しいです。