2025年9月のスーパーマーケット業界動向!惣菜・水産・一般食品が好調、青果・畜産は低調

2025年9月のスーパーマーケット業界は、記録的な猛暑が続いた月となりました。
一方で、前年より日曜日が1回少なかったこともあり、来客数は伸び悩む結果に。
それでも惣菜・一般食品・水産部門が全体を下支えし、売上は前年を上回る水準を維持しました。
この記事では、最新の販売統計(9月速報)と景気動向DI(10月公表分)をもとに、全国の売上動向と景況感を読み解きます。
売場改善や仕入れ判断のヒントにぜひご活用ください。
- DI(ディフュージョン・インデックス)とは?
- 全国の売上動向と景況感
- 景況感のDI動向(9月実績)
- 部門別の販売傾向とDI分析
- 🥛 日配(DI:-2.1|やや不調)
- まとめ:業界全体の動向と今後の展望
DI(ディフュージョン・インデックス)とは?

DIは「業界の景気感」を示す指標で、企業が回答した「好調」「不調」の割合をもとに数値化しています。
プラスが大きいほど業界の景況感が良いことを示し、マイナスが大きいほど悪化を意味します。
| DI値 | 評価 |
|---|---|
| 20以上 | かなり好調 |
| 10〜19.9 | 好調 |
| 0〜9.9 | やや好調 |
| -0.1〜-9.9 | やや不調 |
| -10以下 | 不調 |
全国の売上動向と景況感

- 総売上高:1兆730億円(前年同月比+3.8%)
- 食品合計:9878億円(前年同月比+4.2%)
- 生鮮3部門:3619億円(前年同月比+2.8%)
- 惣菜:1212億円(前年同月比+5.0%)
- 一般食品:2827億円(前年同月比+5.4%)
- 非食品:610億円(前年同月比-0.6%)
地域別の売上変化(全店ベース)
| 地域 | 前年同月比 |
|---|---|
| 関東地方 | +4.9% |
| 中国・四国地方 | +4.4% |
| 九州・沖縄地方 | +4.1% |
| 中部地方 | +2.8% |
| 近畿地方 | +2.3% |
| 北海道・東北地方 | +2.0% |
景況感のDI動向(9月実績)

- 景気判断DI(現状):44.9(前月比-1.5) → やや悪化
- 景気判断DI(見通し):43.2(前月比+0.6) → わずかに改善
- 客単価DI:12.1(+2.0) → 上昇傾向
- 来客数DI:-10.3(-1.9) → 客数減が継続
猛暑と曜日要因で来客数は減少したものの、単価上昇と惣菜・一般食品の堅調な売上が全体を支えました。
とくに即食・簡便ニーズの高まりが、売上維持に寄与しています。
出典:一般社団法人 全国スーパーマーケット協会「スーパーマーケット販売統計・景気動向調査」2025年9月速報(10月21日公表)
部門別の販売傾向とDI分析

🥗 青果(DI:-2.2|やや不調)

高温の影響で青果相場が上昇。品薄や品質低下が目立ち、地域によって販売量に差が出ました。
果物類では梨やブドウ、バナナ、パイン、キウイなど輸入果実が好調でしたが、野菜では苦戦傾向が続きました。
- オクラ・みょうが・しょうがなどの涼味野菜が好調
- 果物類(シャインマスカット・梨・バナナ・キウイなど)が堅調
- サラダ関連商材は高温の追い風で動き良好
- トマト・葉物野菜・枝豆・とうもろこしなどは品質低下
- じゃがいも・たまねぎなど土物類は入荷減で不調
🐟 水産(DI:2.8|やや好調)

生サンマや生イカの水揚げが多く、品質も良好で売上を伸ばしました。
一方で、シラスやカツオ、秋鮭などは不漁・高値で苦戦した店舗が見られました。
- サンマの水揚げ回復で販売好調
- 生イカや鮮魚コーナーの活性化
- 品質面で評価が高く、消費者の反応も良好
- シラス・カツオ・秋鮭などは不漁で価格高騰
- マグロなど刺身類は伸び悩み
🥩 畜産(DI:-3.4|やや不調)

前年より日曜日が1日少なかった影響で、売上の山がつくりづらい月となりました。
豚肉や加工品の動きが鈍く、全体的にはやや不調に転じました。
- 牛肉・鶏肉の一部商品は安定した動き
- 冷しゃぶ・簡便調理向け商品の動きが堅調
- 豚肉・加工品の販売鈍化
- 気温高止まりによる調理機会減少
🍱 惣菜(DI:6.3|やや好調)

猛暑による「調理回避ニーズ」が引き続き追い風となり、惣菜は堅調に推移しました。
揚げ物や冷惣菜の動きが良く、麺類などの即食商品も売上を押し上げました。
- 冷惣菜・麺類など即食需要が高水準
- 猛暑による“調理離れ”が追い風
- 季節感のある提案型メニューが売上に寄与
- 昼食・夕食ピーク時間の来客減少
🥛 日配(DI:-2.1|やや不調)

気温の高さによる品温管理の難しさや、消費者の買い控えも見られ、一部商品で売上が伸び悩みました。
- 冷菓・デザート類・チルド飲料は堅調
- 納豆・豆腐・練製品などでやや鈍化
- 一部で値上げ影響による数量減
🛒 一般食品(DI:3.8|やや好調)

米の供給安定や、簡便・常温保存商品の需要増加で堅調。
値上げが続く中でも、即席商品や乾麺、嗜好品などの動きが好調でした。
- 米の安定供給で関連商品の販売堅調
- 即席商品・乾麺・嗜好品が好調
- 買いだめ・まとめ買い需要が堅調
- 値上げによる買上点数減少が一部で発生
まとめ:業界全体の動向と今後の展望

- 9月は猛暑+日曜減少で来客数DIは悪化
- 惣菜・一般食品・水産が全体の売上を牽引
- 青果・畜産・日配は気候・価格の影響を受けやすい結果に
- 「調理回避」「即食」ニーズは依然として強く、惣菜部門が引き続き鍵
- 季節商材への早期切替・鮮度管理の徹底が重要
10月以降も気温の変動が大きく、秋商材への対応が問われる時期です。
各部門の販売傾向をふまえ、気候に合わせた売場提案と在庫戦略を進めていきましょう。
出典:一般社団法人 全国スーパーマーケット協会「スーパーマーケット販売統計・景気動向調査」2025年9月速報(10月21日公表)