
「売れてるのに人が来ない」?2025年11月スーパーの売上動向
2025年11月のスーパー業界は、ひと言でいうと「来客数は伸び悩むのに、売上は伸びる」月でした。
体感としても
「お客さんは少ない気がするのに、売上は出ている」
──そんな気がしています。
今回は、販売統計(売上実績)と景気動向調査(現場コメント+DI)の両方から、何が起きていたのかを分かりやすく解説します。
- 「売れてるのに人が来ない」?2025年11月スーパーの売上動向
- 売れてるけど来てない?その理由とは
- 2025年11月のスーパーマーケット全体の売上(速報)
- 部門別動向(数字+現場コメントで深掘り)
- 今後はどうなりそう?
- まとめ
売れてるけど来てない?その理由とは
まず前提として、景気動向調査では売上高DIはプラス(12.1)まで上がった一方、来客数DIはマイナス(-6.7)で「マイナス圏が続く」とされています。

つまり、客数ではなく客単価で売上を作っている構図です。
実際、11月は前年より日曜と祝日がそれぞれ1日多く、3連休も増えたことで販売数量が伸びやすかった一方、来客数の伸び悩み・節約志向の高まりを懸念する声も継続しています。
2025年11月のスーパーマーケット全体の売上(速報)
販売統計(パネル270社)によると、11月の総売上高は109,467,293万円(約1兆946億円)で、前年同月比104.9%(+4.9%)でした。

- 食品合計:99,860,369万円(前年同月比 105.2%)
- 非食品:7,038,393万円(前年同月比 101.3%)
「全体は伸びている」。ここはブレません。
次に“どの部門がどう伸びたか(or伸びなかったか)”を、しっかり見ていきます。
部門別動向(数字+現場コメントで深掘り)
ここからは、各部門について
①売上(前年差)と②DI(好不調)と③売れ方の中身
をセットで解説します。
青果:数量は動いたのに、単価が落ちて“伸び切らない”

青果は「売れなかった」というより、
前年が相場高だった反動で“単価が下がりやすかった”
のがポイントです。資料でも、葉物中心に相場が落ち着いて販売量は伸びたものの、一品単価が下落してやや不調とされています。
- トマトは相場高傾向で、サラダ関連野菜が好調な店が多い
- 冷え込みで白菜・きのこなど鍋物関連が動いた
- じゃがいも・たまねぎなど土物類は相場高→単価上昇で好調な地域も
- カット野菜は伸び悩み
- 果物は、前年不振だった柑橘が回復、柿、相場高のりんごも売上は順調
水産:鍋需要は追い風、でも高騰・不漁がブレーキ

水産は“気温低下=鍋”の追い風がありつつ、魚種ごとの当たり外れが大きい月でした。
- サンマ:入荷量が少なく相場は高値傾向でも、売上としては好調が続いた
- 刺身(マグロ・サーモン):好不調が分かれる
- 秋鮭・ブリ:入荷量が少なく苦戦した店が多い
- 冷え込みでタラや練物など鍋関連は好調
- カニ・牡蠣:価格高騰で不振になった店が多い
- 魚卵:回復傾向の店も/サラダ用海鮮が好調というコメントが多い
畜産:値ごろ品シフト+鍋需要で「単価アップ」が売上に直結

畜産は好調。理由は明確で、資料では
相場高傾向で一品単価が上がり売上増につながった
とされています。その上で、消費者は高いものから逃げつつ、鍋・しゃぶ需要で買い方を変えています。
- 牛肉は低調、一方で豚肉・鶏肉など値ごろ商品への需要シフトが継続
- 気温低下でしゃぶしゃぶ用など鍋関連需要が高まり全体を牽引
- 国産豚が相場高のなか、輸入品・スライス・切り落としが好調
- 牛は高止まりで輸入牛が不振、国産はやや回復傾向も
- 鶏肉は鳥インフルの影響で価格高騰が続くなかでも堅調
- 加工肉は不調とする店が多い
惣菜:米高騰が“惣菜の選ばれ方”を変えた

惣菜は好調ですが、中身を見ると面白いです。
資料では、気温低下で揚げ物・てんぷら類はやや鈍化した一方、米の価格高止まりを背景に米飯類・麺類が堅調とされています。
- 米高騰を背景に米飯・麺惣菜が堅調(“自炊の置き換え”として選ばれやすい)
- 野菜相場が落ち着いた影響でサラダ関連は低調
- 焼そば・たこ焼など軽食関連も好調
- 寿司は動きが鈍い
- 新商品開発やブラッシュアップが進む中、販売単価の上昇が売上増につながったという声が多い
惣菜は「何でも売れた」ではなく、
米高騰→米飯惣菜がより選ばれるなど、選ばれ方が変わったのが11月の特徴です。
日配:値上げ+ホットメニュー+健康系が同時に動いた

日配は“値上げで単価が上がる”だけでなく、寒さと健康トレンドが重なって、いろんな棚が動いた月です。
- 全体的な値上げで一品単価が上昇し好調
- 気温低下で練物・おでん商材・麺類などホットメニュー系が強い
- 鶏卵:鳥インフルの影響で価格高騰が続くが、売上としては堅調
- 洋日配:インフル流行で乳酸飲料が復調、健康志向で豆乳飲料が好調
- 米高騰でパン・麺の動きが良い
- 冷凍食品、和日配:納豆・豆腐・豆類が引き続き堅調
日配は“寒いほど強い”
さらに今年は、健康系(乳酸・豆乳)も重なって売れ筋が広いのが特徴でした。
一般食品:米が強い。代替食と“温かいメニュー”が売場を押し上げ

一般食品は、資料コメントがかなり具体的です。ポイントは「米は高止まりでも売上好調」、そして「米の代替品が一緒に動く」こと。
- 米:新米入荷が進み在庫は潤沢、価格は高止まりだが売上高は好調が続く
- 米の代替としてレンジ米飯・パスタ・インスタント麺が堅調
- 気温低下で鍋つゆ、カレー・シチュー・スープなどホットメニュー関連が好調
- インスタントコーヒーなど嗜好品が好調という声が多い
- 菓子は回復傾向
- 酒類は前年を下回る店舗が多い
一般食品は、“米を中心に、代替+温かいメニュー”で売場全体が押し上がった月でした。
非食品:冬物・衛生品は動くが、紙類と競争で苦戦

非食品は、売上前年比ではプラスでも、景気動向調査の評価は「やや不調」。理由は“売れるものはあるが、競争と値上げの影響が強い”からです。
- 気温低下で冬物衣料・入浴剤・カイロなど防寒関連の需要が高まった
- インフル流行でマスクなど衛生用品は順調
- 紙類:値上げ影響で価格競争が厳しく、販売数量減で不調の店が多い
- 家庭用洗剤の動きが良いというコメント
- ドラッグストア等との競争激化で厳しい状況が続く
非食品は「季節商材は当たる」一方で、紙類などは競争で削られる。メリハリが強い月でした。
今後はどうなりそう?
来客数の伸び悩みや節約志向への懸念が続いているため、今後も「客数で増やす」より“買い方の変化に合わせて、単価と買上点数をどう作るか”がテーマになりそうです。

- 寒さが続くほど:鍋(青果・水産・畜産・日配・一般食品)が強い
- 米高止まりが続くほど:惣菜の米飯・麺/一般食品の代替主食が動きやすい
- 非食品は:防寒・衛生は追い風、紙類は競争激化に注意
まとめ
11月は、客数は伸び悩むのに、客単価の上昇と季節需要で売上が伸びた月でした。特に鍋需要と米高止まりが、各部門の売れ方をはっきり変えています。
次回は、年末年始(12月〜1月)で「ごちそう需要」がどう戻るのか、数字で追いかけます。
※出典:スーパーマーケット販売統計調査(2025年11月実績 速報版)、スーパーマーケット景気動向調査(2025年12月調査/11月実績)