
会社に行くのがつらい。残業代が出ていない気がする。有給を取りたいと言ったら嫌な顔をされた。そんな状態が続くと、「これって労基署に相談していいのかな」と検索したくなりますよね。
労働基準監督署への申告について、2026年度から「原則すべて受理へ」という方針が報じられています。働く側にとっては入口が少し広がる話ですが、受理されることと、必ず会社が処分されることは別です。ここを分けて見ておくと、相談先を間違えにくくなります。
労基署への申告は2026年度から受け付けられやすくなる?

労働開発研究会などの報道では、厚生労働省の2026年度の監督指導方針として、労働基準関係法令に違反しないことが明白な場合を除き、労働者などからの申告を原則受理する方向だとされています。
特に気になるのは、未払い賃金などで「先に会社へ請求したこと」を申告受理の前提にしない、という点です。会社に言える人ばかりではありません。上司に話したら立場が悪くなりそう、シフトを減らされそう、退職を迫られそう。そう感じている人にとって、最初の窓口で止められにくくなる意味はあります。
労働者からの申告は令和6年に2万5000件を超え、近年増加傾向と報じられています。厚生労働省の「総合労働相談」も2024年度は120万1,881件で、5年連続120万件超。職場の悩みを抱えている人は少なくありません。
労基署に相談して動きやすいケース

労基署が動きやすいのは、労働基準法や最低賃金法などの違反が疑われるケースです。たとえば、残業代が払われていない、給料が遅れている、有給を取らせてもらえない、休憩がない、長時間労働が続いている、といった内容です。
・残業代、休日出勤手当、深夜手当が出ていない
・給料が支払日に払われない
・最低賃金を下回っているかもしれない
・有給休暇を使わせてもらえない
・休憩が取れない、タイムカードを直される
・長時間労働が続いている
・労災なのに会社が手続きしてくれない
一方で、上司と合わない、評価が納得できない、昇格させてもらえない、異動が不満、パワハラかもしれない。こうした話は、労基署だけで解決しにくいことがあります。
労働局の総合労働相談コーナー、労働審判、弁護士相談の方が合う場面もあります。
全件受理でも「全部解決」ではない
労基署への申告が受理されても、すぐ会社に調査が入るとは限りません。厚生労働省の説明では、労働者は労働基準関係法令違反がある場合に労働基準監督官へ申告できます。その後、労基署が事業場への臨検、会社への来署要請、事情聴取などで事実確認を行い、法違反が認められた場合に是正指導を行います。
| 思い込みやすいこと | 実際の見方 |
|---|---|
| 労基署に言えば必ず調査が入る | 内容、証拠、法令違反の可能性を見て判断される |
| 申告すれば未払い分が必ず戻る | 違反が確認され、会社が是正する必要がある |
| 人事評価や昇格の不満も労基署で解決できる | 賃金規程違反や未払いに整理できるかが分かれ目 |
| 相談したら必ず会社に知られる | 秘密への配慮はあるが、動いてもらうには事実整理が必要 |
労基署と労働局は何が違う?

迷ったときは、労基署は「法律違反の確認」、労働局は「職場トラブル全般の相談」と考えると分かりやすいです。
| 窓口 | 向いている相談 | できること |
|---|---|---|
| 労働基準監督署 | 未払い賃金、残業代、有給、労働時間、休憩、休日、労災 | 会社への確認、臨検、是正指導、悪質な場合の送検など |
| 労働局・総合労働相談コーナー | 解雇、雇止め、配置転換、賃下げ、パワハラ、いじめ | 相談、情報提供、助言・指導、あっせん制度の案内 |
たとえば、昇格試験に合格したのに賃金へ反映されない、評価制度の運用がおかしい、という話は少し複雑です。単なる人事評価の不満だと労基署は踏み込みにくいですが、就業規則や賃金規程に「合格後はこの賃金」と読める規定があり、実際に払われていないなら、未払い賃金に近い形で整理できる余地があります。
相談前に用意しておくもの

最初から完璧な資料をそろえる必要はありません。ただ、いつ、どこで、何があったのかが分かるほど話は伝わりやすくなります。
① いつ、誰に、何をされたかのメモ
② タイムカード、勤怠アプリ、シフト表のスクショ
③ 給与明細、雇用契約書、就業規則、賃金規程
④ 上司とのLINE、メール、チャットの記録
⑤ 未払いだと思う時間や金額のメモ
⑥ 会社名、住所、部署名、担当者名
「これで足りるのかな」と不安でも、まずは時系列で話せる状態にすることが大事です。職場の問題は、生活費や毎月の支出にも直結します。給料、残業代、有給で引っかかっているなら、我慢だけで済ませない方がいいです。
労基署で扱えるのは主に法令違反の問題です。パワハラ、解雇、評価、配置転換まで絡むなら、総合労働相談コーナーや専門家への相談も合わせて考えてください。