
年金を早めにもらって、足りない分は配当や資産の取り崩しで補う。そんな形で「手取り月20万円くらい」を作れたら、働き方をかなり軽くできそうですよね。
この記事では、40歳からオルカンに積み立てた場合、資産4000万円・7000万円・1億円に届くには毎月いくら必要なのかを試算します。あわせて、年金を繰り上げ受給した場合、月20万円で暮らすには受給開始時点でいくら資産があればよいのかも整理します。
この記事は投資の購入をすすめるものではありません。運用利回りは年7%で置いた単純試算です。実際のリターン、税金、手数料、年金額は人によって変わります。
年金と取り崩しで月20万円を作る考え方
まず、年金額のモデルを置きます。日本年金機構の資料では、令和8年度の老齢基礎年金の満額は月70,608円です。厚生年金の報酬比例部分は、平成15年4月以降の期間について「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」で計算します。
ここでは、平均標準報酬額32万円、40年加入、賞与なしの会社員モデルとして、65歳からの年金を月約14.1万円とします。実際には、ねんきん定期便やねんきんネットで自分の見込額を確認してください。
月20万円で暮らすなら、65歳年金のモデルでは不足額は月約5.9万円。60歳で繰り上げると年金は月約10.7万円まで下がるので、不足額は月約9.3万円になります。
繰り上げ受給すると必要資産はいくら?
年金の繰り上げ受給は、原則65歳からの年金を60歳から65歳になるまでの間で早く受け取る制度です。日本年金機構によると、昭和37年4月2日以降生まれの人は、1か月早めるごとに0.4%減額されます。60歳0か月で受け取ると24%減額です。
下の図は、65歳年金を月約14.1万円とした場合、月20万円に足りない分を年4%で取り崩すなら、受給開始時点でいくら必要かをまとめたものです。

| 受給開始 | 年金月額の目安 | 月20万円までの不足 | 必要資産の目安 |
|---|---|---|---|
| 60歳 | 約10.7万円 | 約9.3万円 | 約2,790万円 |
| 62歳 | 約12.0万円 | 約8.0万円 | 約2,385万円 |
| 65歳 | 約14.1万円 | 約5.9万円 | 約1,777万円 |
60歳で年金を受け取り始めるなら、60歳時点で約2,790万円あれば、年金と取り崩しで月20万円に近づきます。62歳まで待てるなら約2,385万円、65歳まで待てるなら約1,777万円が目安です。
40歳からオルカンのみで積み立てると毎月いくら?
次に、40歳からオルカンのみへ積み立てる場合を見ます。前提は、40歳時点の投資元本0円、年7%運用、毎月末に積み立て、税金と手数料は考えない単純計算です。
60歳で繰り上げ受給を考えるなら、60歳時点の資産額が大事です。65歳まで働く、または年金受給を待てるなら、同じ目標額でも必要な毎月積立額は下がります。

| 目標資産 | 60歳までに達成 | 65歳までに達成 |
|---|---|---|
| 4000万円 | 約7.9万円/月 | 約5.1万円/月 |
| 7000万円 | 約13.8万円/月 | 約8.9万円/月 |
| 1億円 | 約19.7万円/月 | 約12.8万円/月 |
40歳から60歳までの20年で4000万円を作るなら、毎月約7.9万円。65歳まで25年あるなら、毎月約5.1万円です。時間が5年伸びるだけで、必要な積立額はかなり変わります。
月20万円だけなら4000万円が絶対必要ではない
ここで大事なのは、月20万円を作るだけなら、必ず4000万円が必要とは限らないことです。今回のモデルでは、60歳で繰り上げ受給しても、年4%で取り崩すなら必要資産は約2,790万円です。
ただし、これはかなりきれいな計算です。現実には株価が下がる年もありますし、医療費、住居費、家電の買い替え、親の介護、自分の介護費などもあります。4000万円は「月20万円を作る最低ライン」ではなく、変動や急な支出に備えるための安心ラインとなります。

| 資産額 | 年4%取り崩し | 月額 |
|---|---|---|
| 3000万円 | 年120万円 | 月10万円 |
| 4000万円 | 年160万円 | 月13.3万円 |
| 7000万円 | 年280万円 | 月23.3万円 |
| 1億円 | 年400万円 | 月33.3万円 |
年金が月10.7万円ある60歳繰り上げの場合、4000万円を年4%で取り崩すと、合計は月24万円ほどになります。月20万円を目標にするなら、取り崩し額を少し抑えられるため、下落時の余裕も作りやすくなります。
60歳から年金+取り崩しを始めると資産は何歳まで持つ?
ここまで「月20万円を作るには、受給開始時点でいくら必要か」を見てきました。ただ、実際に気になるのは「その資産が何歳まで持つのか」ですよね。
ここでは、60歳で年金を繰り上げ受給し、60歳以降は新規投資をしない前提で考えます。
前提
・60歳で繰り上げ受給
・年金月額:約10.7万円
・生活費目標:月20万円
・不足額:月約9.3万円
・60歳以降は新規投資しない

| 60歳時点の資産 | 運用なし | 年2%運用 | 年3%運用 |
|---|---|---|---|
| 約2,790万円 | 約85歳まで | 約94歳半まで | 約105歳半まで |
| 3,000万円 | 約87歳まで | 約98歳半まで | 約113歳まで |
| 4,000万円 | 約95歳10か月まで | 約122歳まで | ほぼ枯渇しにくい |
| 7,000万円 | 約122歳まで | ほぼ枯渇しにくい | ほぼ枯渇しにくい |
かなり現実的に見るなら、60歳開始で月20万円生活を考える場合、最低ラインは3,000万円前後。95歳や100歳まで見たいなら、4,000万円を安心ラインとして考えると分かりやすいです。
ただし、これは「月20万円がずっと変わらない」前提です。物価上昇で生活費が増えたり、医療費や住居費が大きくなったりすると、必要額は上がります。数字だけを見て安心しきるのではなく、生活費の上振れに備える余白も持っておきたいところです。
繰り上げ受給後は新規投資しない前提で考える
今回の試算では、年金を受け取り始めた後は株に新規投資しない前提です。つまり、40歳から受給開始年齢までに資産を作り、受給開始後はその資産を生活費の補助として使います。
60歳で受給するなら、必要資産は多めに必要です。65歳まで待てるなら、年金額が増え、必要資産も毎月積立額も下がります。早く自由な時間を取りたいのか、年金額を減らさず安心を厚くしたいのか。ここは数字だけでなく、体力や仕事の負担も合わせて考えるところです。
月20万円を目標にするなら、まずは自分の年金見込額を確認し、不足額を出す。その不足額を、配当や取り崩しで何年支えるのかを決める。ここまで分かると、4000万円・7000万円・1億円という大きな数字も、自分に必要な目安として見やすくなります。