こんにちは!
スーパーの惣菜担当 料理愛好家の「ひこめ」です!
今日は、皆さんの食卓にも欠かせない「豆腐」にまつわる衝撃的なニュースについてお話しします。
豆腐は昔から「物価の優等生」として知られ、手軽な価格で栄養価も高いことから、多くの家庭で愛されてきました。しかし、2024年に入り、豆腐店の倒産や廃業が急増しているという深刻な現状が報告されています。
今回は、帝国データバンクの「「豆腐店」の倒産・休廃業解散動向調査(2024年1-7月)」について解説していきたいと思います!
「豆腐店」の倒産・休廃業解散動向調査(2024年1-7月)| 株式会社 帝国データバンク[TDB]
豆腐店の倒産・廃業の実態
まず、具体的な数字からお伝えします。2024年1月から7月にかけて、負債額1000万円以上の法的整理を行った豆腐店が36件発生しました。
これは、年間倒産件数が過去最多となった2023年の46件を上回るペースです。このままの推移だと、2024年末には60件を超える可能性があり、業界全体に大きな影響を及ぼす懸念が高まっています。
倒産・廃業の主な要因
1. 原材料費の高騰
豆腐の主原料である大豆の価格が、コロナ禍以降も高止まりしていることが一因です。特に、米国産の輸入大豆は円安の影響も受け、価格が安定せず、豆腐の製造コストを圧迫しています。
また、電気代やガス代、物流費、容器代などのコストも年々増加しており、これらのコストを製品価格に転嫁するのが難しい状況が続いています。
2. 価格競争の激化
スーパーの特売品として頻繁に利用される豆腐は、値下げ圧力が非常に強い商品です。さらに、近年では大手メーカーが大量生産する安価なPB(プライベートブランド)豆腐が急速に普及しており、これと競合する中小の豆腐店は、価格面での競争が非常に厳しくなっています。
その結果、薄利多売に頼らざるを得ない状況が続き、経営がますます厳しくなっています。
3. 後継者不足
経営難だけでなく、後継者問題も深刻です。豆腐製造は熟練の技術を要するため、長年の経験が必要ですが、その技術を受け継ぐ若い世代が不足していることも、廃業を選択せざるを得ない一因となっています。
豆腐の適正価格と消費者の理解
これらの要因が重なり、多くの豆腐店が経営難に陥っています。しかし、ここで考えなければならないのは、豆腐の適正価格についてです。
今回は、スーパーの惣菜で働く”私目線”で、適正価格を考えてみます!
お店の豆腐の金額
近隣のスーパーや豆腐屋での売価はおおよそこれくらいです。
特にプライベーブランドの豆腐は安く、家計が助かっているのは確かです。私のいるお店でも一番売れているのは、安い豆腐です。価格に敏感なアイテムでもあるため、なかなか値上げに踏み切れないのも事実です。
惣菜に加工すると安い!
加工すると、豆腐は値入率が高く、多少の値上がり程度では、売価に影響はありません。例えば、
・揚げ出汁豆腐 : 1丁分を8等分して6切れ使用して、298円程度
・豆腐ドーナツ : 1丁分で約45個製造し、1個50円程度
・麻婆豆腐 : 1丁分で2食製造し、1パック398円程度
で販売します。揚げ出汁豆腐であれば、値入率は約60%、豆腐ドーナツは約55%、麻婆豆腐は約53%と、利益を最大限得られます。
豆腐の金額が上がると家計にどれくらい負担がかかる?
では、先ほどの 「揚げ出汁豆腐」 を例に豆腐の金額を2倍にしてみます。
これでも値入率は50.67%と、惣菜であれば十分な利益を得ることができます。
家庭でも1食当たりの上昇は30円に留まります。
スーパーで売れる安価な豆腐1丁40円と仮定し、2倍で80円。週の半分3.5日豆腐を食べるとすると、週に140円、1か月で560円、12か月で6,720円の家計負担となります。
安価な豆腐の金額が2倍になっても食費負担は1.3%だけ
最新(2024年6月)の家計調査報告を基にすると、二人以上の世帯の月間食費は約85,657円です。
先ほどの計算だと1か月で560円。これを一人で560円とすると二人で1,120円。
となります。実際に1週間で3.5丁も豆腐を食べている人は少ないと思いますので、家計負担はこれより下がるかもしれません。
仮に100円、豆腐の金額が上がっても家計への負担は月に1,400円(二人で2,800円)としても、家計負担は月に3.2%程度となります。
結局、消費者目線から見る豆腐の適正価格は?
が妥当ではなないかと思います。最低で月に1.3%、最高でも3.2%の家計負担であれば、許容範囲といえるのではないでしょうか?
美味しいものは金額じゃない!
美味しいものであれば、多少高くても買ってしまうのが、最近の傾向でもあります。実際にスーパーで働いていると、「どうせ高いなら少しいいものを」と思っているお客様も多く、高級過ぎない良い物が売れています。
家計への負担が微増であるならば、地元の豆腐店の豆腐を買う頻度も上がるかもしれません。
まとめ
豆腐は安価で栄養価が高く、私たちの食卓に欠かせない存在ですが、その価格を支える豆腐店の経営は非常に厳しい状況に置かれています。
大豆の価格高騰や、激しい価格競争、後継者不足といった課題に直面しながら、豆腐店が倒産・廃業に追い込まれているのが現実です。
豆腐が「物価の優等生」であり続けるためには、消費者としての理解と支援が必要です。