
岐阜で若者が一人暮らしをするには、月27万円以上が必要!?
そんな調査結果が話題になっています。
最初にこの数字を見て「本当にそんなに必要?」と思ってしまいました。でも、家賃、食費、光熱費、通信費、服、交通費、税金、社会保険料まで考えると、ただのぜいたくとも言い切れません。
今回は、岐阜県労連の最低生計費試算、岐阜県の最低賃金、岐阜市の生活保護の目安を比べながら、「働いているのに生活が苦しい」とは何なのかを考えてみます。
- 岐阜の一人暮らしに月27万円は何をもとにした数字?
- 岐阜県の最低賃金ではどれくらい足りない?
- 最低限度の生活は保障されるはずでは?
- 生活保護の方が得なんてことはない!働いても苦しいことが問題なんだ!
- 月27万円という数字から見える現実
- 参考にした情報
岐阜の一人暮らしに月27万円は何をもとにした数字?
報道によると、岐阜県労連の最低生計費試算では、25歳の若者が岐阜県内で一人暮らしをする場合、男性は月27万6,778円、女性は月27万8,029円が必要とされました。
これは、なんとなく出した数字ではなく、2022年に加盟労組の労働者らへ生活実態や必要な持ち物などを尋ね、1,046件の回答をもとにした調査した結果のようです。
そこに近年の物価上昇を反映して、2026年時点の必要額として試算されています。
こうした最低生計費調査は、一般にマーケット・バスケット方式と呼ばれる考え方で、生活に必要な品目を積み上げて金額を出します。食費だけでなく、住居、交通、通信、日用品、衣服、交際費、税金、社会保険料なども含めて見る方法です。
ただし、これは政府統計ではなく、労働組合側の調査です。最低賃金の引き上げを求める問題提起の意味もあります。なので、記事では「絶対にこの金額が必要」と断定するより、若者の一人暮らしに必要な生活費の目安として見るのがよさそうです。
岐阜県の最低賃金ではどれくらい足りない?
岐阜労働局によると、現在の岐阜県最低賃金は時給1,065円です。一方、岐阜県労連の試算では、必要な時給は男性1,845円、女性1,854円とされています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 岐阜県最低賃金 | 時給1,065円 |
| 月150時間働いた場合 | 15万9,750円 |
| 男性の必要月額 | 27万6,778円 |
| 女性の必要月額 | 27万8,029円 |
月150時間働くとすると、最低賃金では約16万円。試算された必要額とは、月11万円以上の差があります。ここを見ると、「節約すれば何とかなる」で片づけるには少し厳しい差です。
最低限度の生活は保障されるはずでは?
ここで疑問が出ます。憲法25条や生活保護制度では、「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」仕組みがあります。それなら、最低賃金で働いても生活が難しい状態はどう考えればいいのでしょうか。
岐阜市の生活保護制度の説明でも、「生活保護は生活に困っている人に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助長する制度」とされています。
ただ、生活保護は「働くより多くもらえる制度」というわけではありません。
20〜40歳の単身で岐阜市に住む場合の目安として見ると、生活扶助が約7万円台、住宅扶助の上限が約3万2,000円程度で、合計はおおむね10万円台前半になります。医療扶助などは必要に応じて現物給付されますが、現金で27万円もらえるわけではありません。
| 比較 | 目安 |
|---|---|
| 最低賃金で月150時間 | 約16万円 |
| 岐阜市の生活保護単身目安 | 約10万円台前半+医療扶助など |
| 最低生計費試算 | 約27万円台 |
生活保護の方が得なんてことはない!働いても苦しいことが問題なんだ!

今回の数字を見ても、生活保護の方が普通に働くより多くもらえる、とは言えません。むしろ、現金額だけで見れば最低賃金で働いた場合より低い水準です。
私は、働けるなら働いた方がいいと思っています。生活保護は、働けない事情がある人や、一時的に生活が立ち行かなくなった人を守るための最後の制度です。
でも、働いている人が最低限の一人暮らしに届かないなら、それを本人の努力不足だけで片づけるのも違うと思います。問題は、最低賃金で働いても、自立した生活費に届きにくいことです。
月27万円という数字から見える現実
月27万円と聞くと、高く感じる人もいると思います。私も最初はそう感じました。でも、家賃、食費、光熱費、通信費、税金、社会保険料を積み上げていくと、「若者が普通に一人暮らしするには、それくらい必要」という問題も見えてきます。
節約はもちろん大事です。固定費を下げる、食費を見直す、無駄なサブスクを切る。できることはあります。ただ、最低賃金と必要生活費の差が月11万円以上あるなら、個人の節約だけでは限界があります。
今回のニュースで考えたいのは、働く人が、働いた分だけ安心して暮らせる賃金になっているのか。若者が一人暮らしを始められる社会なのか。そこだと思います。
「最低限の生活」とは何か。岐阜の月27万円という数字は、その問いをかなり現実的に突きつけている気がします…。
参考にした情報
・岐阜新聞「25歳単身者、暮らしに月27万円必要」
・岐阜労働局「岐阜県最低賃金」
・岐阜市「生活保護制度」
・厚生労働省「生活保護制度」
・厚生労働省「生活扶助基準額の算出方法」