【森山幹事長】「食費の消費税は年間2万円」って本当?←家計調査を見たら全然足りなかった話
先日、自民党の森山幹事長が「食費にかかる消費税は1人あたり年間2万円程度」と発言し、その額を全国民に一律給付する案を発表しました。
テレビやネットニュースでも大きく取り上げられていましたが、個人的にはちょっと「えっ?」となってしまいました……。
実際、我が家(3人家族)では毎月の食費が6万円前後。
その計算で本当に年間2万円の消費税負担になるのか、気になって調べてみることにしました!
- 森山幹事長の発言:内容を確認してみた
- SNSでは疑問の声が続出
- 家計調査で見えてきた食費の実態
- もし本当に年間2万円なら、1食いくら?
- なぜ「2万円」だったのか?政府の狙いを推測してみた
- なぜ“給付”という形なの?食品にかかる消費税を0%ではダメだったの?
- やっぱり感じる“生活感とのズレ”
- まとめ:「前提を誤れば、答えも間違う」支援策だったのかもしれません。
森山幹事長の発言:内容を確認してみた
2025年6月、鹿児島県連の会合で森山幹事長はこう語りました。
「食費にかかる1年間の消費税負担額が1人当たり2万円程度」
また、子育て世帯にはさらに1人あたり2万円を追加し、最大で1人4万円の給付になるとのこと。
根拠となっていたのは、
- 年間食費:25万円
- 消費税(軽減税率8%):25万円 × 8% = 2万円
というシンプルな計算式のようです。
SNSでは疑問の声が続出
この発言はSNSでも話題に。
いろいろな意見が見られましたが、共通していたのは「実態とズレているのでは?」という反応です。
- 「1食231円でバランスの良い食事は無理」
- 「育ち盛りの子どもがいる家庭で年25万円の食費なんて考えられない」
- 「一律給付もありがたいけど、そもそも根拠の数字がずれてる」
- 「2万円より、軽減税率を見直してくれた方が助かる」
私自身も、「じゃあ実際に家計調査ではどうなってるのか?」気になりました。
統計局が出している家計調査から食費は調べることができます。早速調べてみました!
家計調査で見えてきた食費の実態
最新(2025年4月)の総務省・家計調査によると、
二人以上の世帯の1ヶ月あたりの食費は約89,487円。
年間にすると約107万円にもなります。
これを1人あたりに換算すると、年に約53万〜55万円ほどの食費がかかります。
消費税8%をかけると…
一年間にかかる食品の消費税は一人当たり約4.3万円
つまり、「年間2万円の消費税負担」という話は、実態の半分以下だったということになります。
もし本当に年間2万円なら、1食いくら?
ちょっと逆算してみました。
朝・昼・晩、すべてあわせて694円って、現実的にはかなり厳しいですよね…。
私もスーパーの惣菜店員ですし、原価計算は年中していますが、231円で作れるものってだいぶ少なくなってます。
先日帝国データバンクから発表されたカレーライス物価指数では、自宅で作るカレーライスが1食429円です。
231円以内に収めるのは至難の業です。
なぜ「2万円」だったのか?政府の狙いを推測してみた
「なぜ2万円?」という疑問も出てきますよね。
調べてみると、こんな意図が考えられそうです。
- 国民が納めた税金を“返す”という名目を作りたかった
- 給付総額(約2.4兆円)としてギリギリ現実的なライン
- 一律でわかりやすく、インパクトのある金額にしたかった
- 子育て世帯への上乗せで、選挙対策としても意味を持たせたかった
- そして何より、“参院選前”のアピールとして絶好の材料だった
選挙直前に「現金給付」が発表されると、どうしても有権者には“好印象”を残しやすいです。
実際に効果がどうかよりも、「今すぐもらえる」「わかりやすい」「恩を感じやすい」政策が選ばれやすい時期なんですね。
つまり、「2万円ありき」で理屈を作った可能性もあるのかなと感じました。
なぜ“給付”という形なの?食品にかかる消費税を0%ではダメだったの?
今回の政策は「全国民に一律で2万円を給付する」というもの。
でもふと考えてみたんです。
「食費の負担を軽くしたいなら、そもそも消費税を0%にすればいいのでは?」
給付方式のメリット(政府側の都合)
- 即効性がある → 給付と同時に“支援している”実感を与えやすい
- 制度改正が不要 → 消費税法をいじらずに済むのでスピーディ
- 全員に配れる → 「自分ももらえた!」という実感が得られる
- 選挙前に“恩を売れる” → タイミング的にインパクト大
消費税ゼロのハードル
- 法改正が必要 → 国会での審議・成立に時間がかかる
- 対象品目の線引きが難しい → 加工食品?テイクアウト?飲料?どこまでが「食費」?
- 恒久的な減収になる → 一度下げると元に戻すのが政治的に難しい
結論…
私たちの毎日の生活で、「支援されている」と実感できるのはどちらでしょう?
私は後者の方がずっと安心感があるように感じました。
でも政府は、一時的な現金給付という“その場しのぎ”の方法を選びました。
制度を変えるよりも、今ある仕組みの中で“配るだけ”の方が、早くて簡単だったのかもしれません。
やっぱり感じる“生活感とのズレ”
単純な計算式では成立しているようでも、その前提自体が現実と合っていません。
実際に日々の買い物をしている立場からすると、「それで本当に生活できるの?」という疑問が真っ先に浮かびます。
ここ数年で物価はじわじわと上昇し、
野菜や肉、魚、乳製品、パンなどの価格もじわじわと上がってきました。
外食もランチ1回で800円を超えるのが当たり前の時代。
そんな中、「年間25万円の食費で3食まかなえる」という設定には、
数字だけでは測れない暮らしの現実とのギャップがあると感じざるを得ません。
まとめ:「前提を誤れば、答えも間違う」支援策だったのかもしれません。
制度の背景には、政治的な意図や財政的な都合があるのかもしれません。
でも、本来の支援は「暮らしを少しでも楽にする」ためのはず。
今回の2万円給付案、ありがたさはあるけれど、
その根拠とされた「年間25万円の食費」という前提には、現実との大きなズレがありました。
結果として、その前提から導かれた「2万円」という金額も、
数字としては成り立っていても、生活の実感からはかけ離れていたように感じます。
「前提を誤れば、答えも間違う」。
そんな政策判断だったのかもしれません。